資金繰りを悪化させる「とにかく売上を上げる」という認識

「事業拡大後」に赤字になるケースは少なくない

資金繰りが悪化する理由として、次のようなケースがよく見られます。

 

・当初計画した売上が実現しなかった。

・売上先が倒産してしまい、売掛金が回収できなくなった。

・リストラをすべきか悩んでいたら、タイミングが遅れて赤字が膨らんでしまった。

・利益が順調に増えたので店舗を増やして事業拡大をはかったら、赤字になった。

とくに多いのが、事業拡大後に赤字になるケースです。

 

事業が軌道に乗ると、事業拡大をしたくなるのが経営者の性(さが)です。しかし商売には必ず波があります。ずっと右肩上がりのビジネスはありません。

売上が下がっても人件費や店舗の家賃、銀行の返済など、毎月一定の支出が発生するため、たくさんあったはずの資金はやがて底を突きてしまいます。

そのとき、経営者はどうするべきでしょうか。

A.攻めの姿勢で、とにかく売上を上げる。

B.初心に戻って資金繰りを見直し、分析する。

多くの経営者が、Aを選びます。

大切なのは「資金繰り」の見直し

何とかして売上を上げたい。そのためには、売れる商品を仕入れたり作ったりしなければいけない。しかし手元に現金がない。

「よし、経営改善のために、銀行から資金を借りよう」

そうして安易に借金を増やしてしまうと、売上が増えても、銀行への返済額が大きくなっているため、いつまでたっても手元の現金は増えません。会社を発展させるどころか、銀行返済のためだけに、必死に利益を上げるようになってしまいます。

「売上を上げればどうにかなる」

そう考えるのは危険です。

正解はBの、資金繰りを見直すことです。ただし、独立して経営者になる方は、私もそうですが、「野心」があって独立されたはずですし、「売上」を上げる気持ちが優先してしまう性格のほうが経営者に適しているのも事実です。

「売上」を上げるノウハウについては、別の図書に任せるとして、本書では「ディフェンスこそ最大の攻撃」と考え、ディフェンスの最大の武器である「資金繰り」にフォーカスを当てていきます。

【第2回】 資金繰りを悪化させる「とにかく売上を上げる」という認識

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